中国新聞3月11日付の記事によると
政府は10日、月内の国会提出を目指す「国家公務員制度改革基本法案」で焦点となっている「内閣人事庁」に関して、官房長官をトップに新設するものの、機能は各閣僚が幹部人事案を作成する際の「情報提供や助言」に限定する方針を固めた。・・・・
政府の有識者会議が提言した同庁設置構想は、各省幹部人事を内閣が一元管理し「縦割り行政」の弊害を排除することが目的だったが、各省の実質的な人事権限は温存され、改革は大幅に後退することになる。・・・
と載っていた。
やはりと別に驚きはしなかったが、虚しさだけが残る。
今年に入ってからの公務員改革の動きをみてみると、
1月10日、政府の有識者会議「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会(座長・岡村正東芝会長)」は新設する「政務専門職」以外の国家公務員の国会議員との接触の原則禁止、人事を一元管理する「内閣人事庁」創設を柱とする報告書原案を提示した。
1月21日、懇談会は族議員らの強い反発で、国家公務員の国会議員との接触の原則禁止を撤回する修正案をまとめた。新設する「政務専門官」以外の公務員についても「閣僚の命令による場合に限る」との条件を付け、実質的には「許可制」として接触を認めた。
1月30日、懇談会による報告書最終案が判明した。提言の柱は各省縦割り主義からの脱却だ。内閣人事庁を創設し、総務省や人事院などに分散している人事関連機能を集約する。各閣僚の補佐役として新設する「政務専門官」以外の議員との折衝は「厳格な接触ルールを確立して、接触を集中管理する」とした。さらに、キャリアシステムの固定化につながる試験を廃止し、守秘義務違反者を処罰する必要性を強調した。
政府はこれを受け、調整に調整を重ね方針を固めた。法案の柱は(1)内閣人事庁の創設(2)国会議員との接触制限(3)キャリア制度の廃止(4)労働基本権の拡大の4点。政府の有識者会議が2月上旬に提出した最終報告書の項目をほぼ盛り込んだ形だが中身は閣僚や官僚の異論で大幅に後退、特に、 「内閣人事庁」と政管接触制限は完全に骨抜きになってしまった。町村氏の「なぜこういう組織が必要なのか」という発言には開いた口が塞がらない。
そんな時、産経ニュースの生活欄に堺屋太一氏の一文を見つけた。
・・・・かつて経済高度成長を演出し、格差も犯罪も少ない世の中を創(つく)り、優れた基礎教育を築いたはずの日本の官僚機構が、なぜこれほど劣化したのか。
その最大の原因は、官僚機構の共同体化、国家国民に奉仕するのではなく、官僚仲間の安逸と組織利益のために働く倫理の退廃である。
組織はある目的を達成するために作られる。しかし、作られた組織は、本来の目的とは異なる目的を持つ。組織に属する者の安楽と富貴を追求するのだ。
日本の官僚機構は、それぞれの行政目的を達成するために作られた。しかし、高度成長から40年、各府省には情報の秘匿と年功人事で競争のない閉鎖社会ができ上がっている。
キャリア官僚は20年ほどで全員が同時に本省課長職に就き、それからあとは仲間内の評判によって出世の度合いが決まる。つまり自分の府省の定員と予算を増やし、威張れる権限を強め、天下り先を広げた者が出世するのである。
このため、官僚たちは定員と予算と権限の拡大を目指して国会議員に根回しをする。内閣の方針も大臣の意向も無視して、「わが省の方針」を説き回る。守屋元防衛省次官は、業者の水増し価格請求にも気付かぬほど業務には無知だったが、大物次官として長期君臨できたのは、議員回りの院外団活動に熱心だったからだという。日本の官僚は、「省益あって国益なし」といわれる所以(ゆえん)である。・・・・
・・・・官僚(公務員)を、天下り付き終身雇用の身分から、適材が務める効率的な職業に改めることこそ、傾きかけた日本を再興するはじまりである。
正に正論で同感であるが、官僚の保身のための団結力を見せ付けられて虚しさだけが残る。
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