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幸田文 「季節の手帖」

 

 

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いつか幸田文の本を読みたいと思っていた。
まずはこの本から。

この本は没後に一人娘の青木玉によって
選集された。

四季を通してその季節毎に自分の感性を揺さぶられる
情景を淡々とつづっていく。
それは決して華やかな風景や息を呑むような瞬間ではない。
普通なら見過ごしてしまう何気ない景色、瞬間なのだ。

白いこでまりの花の咲きかた、
川を渡る船を漕ぐ船頭さんの一連の動き・・

その季節しかない色、においが
短い文から感じられる。

私は冬の「山茶花」の文が一番記憶に残った。

『・・12月は色の消える月です。
ものの終わりははっきり線を引いたり、ばっちりと鮮やかにかざったりしてきまりをつけたいのが人情です。
それだのに、菊のないあとにこの花が残って咲きます。
花にはちがいがありませんが、見だてのある花ではない鄙びたものです。
その野暮くさい見ばえのしない花を飾るがゆえに、一年の終わりは平安におちついて無事に暮れるのではないでしょうか。
山茶花があることを思うと、12月はなるほど一年の鎮めだな、とうなずけます。
女の終わりも菊や紅葉と鮮やかなのもりっぱだけれど、私なら山茶花がいいとおもいます。』

これは、幸田文が1956年52歳で書いている。

 

 

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コメント

幸田文の文章は好きでほとんど読んでいましたが
この「季節の手帳」は読んだ記憶がありません。
近いうちに読んでおこうと思っています~☆

彼女の文章、無駄のない生活者の感覚が研ぎ澄まされたところが好きで、読んだ本をあまり家に置いておかない私も幸田文の本だけは残してあります。

幸田露伴の娘、幸田文と森鴎外の娘、森茉莉、まったく違った個性のふたりを好きで、それぞれ親子の関係も興味深く思っています。

投稿: komichi | 2015年4月22日 (水) 22時30分

☀komichiさん
読む年代で受け取り方が違うような気がします。
「季節の手帖」は50代~60代前半に書かれており、四季を繰り返し浴びてきた今の年代でこそスーッと胸に入ってきたのかもしれません。

ほんとですね、個性が違うお二人ながら反発することなく慕っている所は影響をかなりうけたんでしょうね~♪

投稿: 白いねこ | 2015年4月23日 (木) 10時23分

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